2015.10.01

銀杏(いちょう)と銀杏(ぎんなん)

イチョウの紅葉 日ごとに秋も深まってきました。そろそろ紅葉狩りシーズンがやってきます。

9月下旬から10月頃、街を歩いているとふんわりと優しいキンモクセイの香りがします。
その中にどこかしらくさい臭いが。
そんなときに上を見ると、銀杏(いちょう)の樹に銀杏(ぎんなん)の実がなってます。
食べておいしいこの銀杏(ぎんなん)、まさにこれから旬を迎えようとしています。
今回はそんな銀杏(ぎんなん)について書きたいと思います。


ところで、銀杏(いちょう)と銀杏(ぎんなん)って、同じ漢字であることに気づきましたか?

 「ぎんなん」は、音読みです。 「ぎんなん」と読んだ場合は、多くはイチョウの実を指します。「杏」を「なん」と読んでいるのは、直前の「ぎん」の「ん」に影響されて、本来の音読み「あん」が変化したもの。アンズの実を小さくしたようで、銀のように真っ白な実だから「銀杏」と呼ぶそうです。

ーでは、「銀杏」と書いて「いちょう」と読むのはなぜか?

 中国ではイチョウのことを「鴨脚」と書いて「ヤーチャオ」のように発音して呼んでいたことがあり、それが変化して「いちょう」となったそうです。その結果、従来の表記の「銀杏の木」を「いちょうのき」と読むようになり、実のときだけ「銀杏」を「ぎんなん」と古来の読み方で読んで、区別するようになりました。「銀杏」だってもとはといえば中国語ですから、同じ植物を指す2つの中国語が、日本にやってきて1体になったようです。
ややこしい話です。

ーところで、雄と雌は、どのくらいの距離で結実するのか?雄木と雌木

 イチョウは種子植物でありながら、受精の際に精子をつくります。春に受粉滴により胚珠の中に取り込まれた花粉は、ヒノキやスギのように風で1km以上も運ばれ受精し、結実するのです。
つまり、周囲に雄の木が全く見えていない場所でも、実がつくわけです

そして、実ができるまでの樹齢は、雄花の着生は11~12年で、雌花の着生は5~8年でギンナンが結実するそうです。

ただし、実から地上に落ちて種になり、自然に生えたものは、実ができるまで25年くらいで、接ぎ木や挿し木をすると、枝自体がもともと年数を経ているため、実が早くなるようです。

また、実ができるには、雌と雄は1対1の関係が必要というわけではなく、雌の木5本くらいに対して雄の木1本で十分だそうです。
まさにハーレム!!

ーではその実のギンナンについて

ギンナンの実。9月下旬
 ギンナンには、古来よりせき止めや、膀胱の括約筋を強くする効果から夜尿症・頻尿の改善に使われていて、 良質のタンパク質はコレステロールを減らし、滋養強壮にも効果があるなど様々な薬効がある一方で、ギンナンには神経に働くビタミンB6の作用を妨げる中毒物質が含まれていて、食べ過ぎると痙攣などの中毒が起きることがある。

ーギンナン食中毒とは?ギンナン拾い

 ギンナン食中毒を引き起こす原因として考えられているのが、ビタミンB6の欠乏だそうです。
ギンナンの中には、ビタミンB6に似た構造を持つ毒性物質が含まれており、調理などで分解することはできません。この物質が、体内のビタミンB6の作用を低下させ「ビタミンB6欠乏症」を引き起こすことで、健康な人でもギンナン食中毒が起こる可能性があります。

人は体内でビタミンB6を作ることができないため、食事からの摂取と、腸内細菌が作り出すものによってその濃度を維持していますが、偏食などで摂取量が少ない場合や、抗生物質などを服用し腸内細菌からの供給が少ないなど、ビタミンB6欠乏状態にある場合は、ギンナン食中毒が起こる危険がさらに高まります。
なので、ギンナン食中毒はアレルギーなどと違い、その時々の体の状態で引き起こされる可能性があるものなのです。

しかし、体内のビタミンB6の状態を把握することは困難なこと。防ぐには、一度に多量摂取しない、少量であっても継続して摂取しないことが大切です。

ただし、それは大人の場合で、子どもになるとさらに注意が必要に。
その原因として、体の大きさや、一般的に子どものほうが痙攣が起きやすいことに加え、毒性物質の吸収または解毒能力が異なることを推測していますが、はっきりとした原因はまだわかっていないようです。子どもは何でも口に入れてしまうので、ギンナンと知らずに食べてしまい痙攣が起きた症例も。そういった点からも、幼児には与えないほうが良いと思われます。

紅葉狩りと銀杏これから紅葉狩りと共に、臭くて処理が面倒ですがギンナン拾いにも挑戦してみてはいかがでしょうか?
ギンナン食中毒には注意して、食べすぎに気をつけて一粒一粒美味しく味わって楽しみましょう。