2008.08.01

「絞め枯らしの木」

  これは、ある植物(科)の別名として実在します。代表的なものとして、ガジュマルをはじめとする「クワ科イチジク(フィカス)属」の仲間がこれにあたります。元々は「絞め殺しの木」と言われていました。ではなぜこのような別名が付けられているのでしょうか?

 熱帯や亜熱帯に自生しているガジュマルは、鳥などによって運ばれた種子が他の木の上で発芽します。地面に落ちた種子は発芽しないそうです。そして樹上で発芽し多くの気根を垂らしながら、気根同士結合し生長していき幹状になり、発芽した元の木に絡まっていきます。その結果絡まれた側の植物は光合成ができなくなり、ついには枯れてしまいます。決して元の木の養分を吸ったりするわけではないので、寄生しているわけではありません。これは着生と言います。

 小笠原のガジュマル林
 多くの固有種が存在する小笠原諸島では人間の手により持ち込まれたガジュマルにより、絶滅の危機に瀕している種もあるとの事です。しかしガジュマルをはじめとする「絞め枯らしの木」自身も、自らが生きていくための手段として他の植物を利用しているだけであって、決して悪者というわけではありません。本来生育していない地域に外来種を持ち込んだ、人間が悪者なのです。

 屋久杉に絡まるヤマグルマ
 また、通常は単独で生育しているヤマグルマですが、屋久島においてのみ「絞め枯らしの木」と言われています。これは、屋久島の高い湿度の森林という特殊な環境でのみ、着生するタイプになるようです。樹齢1000年以上の屋久杉に絡まるヤマグルマを多く見る事ができます。

 次回、ガジュマルについてもう少し詳しく説明します。