- 2011.03.01
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「愛する人に“ミモザ”の花束を」
3月8日は「国際女性デー」です。この日、男性が女性に“ミモザ”の花を贈る習慣があるのを御存知ですか?
国際女性デー(国際婦人デー)とは、毎年3月8日に女性の平等な社会参加を呼び掛ける日で、世界的に行われています。ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こしたことが発祥とされ、ロシアでは女性労働者から始まったデモが男性労働者・兵士まで巻き込み、帝政を崩壊にまで追い込んだ例もあるそうです。そしてこの日、男性が日頃の感謝の気持ちを込めて女性に贈る花束に用いられているのが“ミモザ”の花です。ミモザとは本来マメ科オジギソウ属を指す総称です。しかし、似た花・葉を持つことから混同されるようになり、現在ミモザと言えば、フサアカシア(房アカシア)またはギンヨウアカシア(銀葉アカシア)のことを指します。本コラムでは以下フサアカシア・ギンヨウアカシアの2種を“ミモザ”と呼ぶことにします。
“ミモザ”は樹高10m以上に達するオーストラリア原産のマメ科アカシア属の常緑高木で、アカシア特有の偶数2回羽状複葉を有しています。関東以西の暖地でないと育たない・浅根性のため台風などの強風で倒れやすい等の短所はありますが、成長が非常に早く、施肥の必要ややっかいな病虫害もないので公園緑地等によく用いられます。花の美しさも大きな魅力の一つで、まだ他の花が少ない2~4月頃にまり状の黄色く鮮やかな花をたくさん付けるので、黄金色に埋もれるように見える花期の“ミモザ”の樹はとても目を引きます。印象的な黄色い花は、ミモザサラダやカクテルのミモザの語源ともなっています。花は香水の原料にもなるほどの良い芳香があります。
両種は似ていますが、フサアカシアの小葉が30~60対・羽片が16~20枚程度あるのに対して、ギンヨウアカシアの小葉は8~25対・羽片は4~10枚程度という点で見分けることができます。日本ではコンパクトな印象を受けるギンヨウアカシアの方が人気が出てきているようです。また、ギンヨウアカシアは銀灰色の葉も特徴的です。(ちなみに一般的にアカシアと呼ばれているのはニセアカシア別名ハリエンジュでまた別の種類です・・・ややこしいですね。)
イタリアでは3月8日をFesta della Donnna(女性の祭り)と呼び、男性は女性(恋人に限らず、職場の女性や母親にも)に“ミモザ”の花を贈る習慣があります。愛と幸福を呼ぶといわれる“ミモザ”を贈られた女性たちは、花を髪や胸に飾り、家事や育児から解放されて夜遅くまで女友達とのおしゃべりを楽しむそうです。ロシアでも“ミモザ”を贈る習慣があり、フランスでは春を告げる花として親しまれBorme les Mimosas(ミモザ祭り)が行われます。
日本ではなじみのない習慣ですが、ふわふわとした鮮やかな“ミモザ”の花束を大切な人に贈れば、きっと喜んでくれることでしょう。