2011.11.01

「氷の植物 アイスプラント」

みなさんは「アイスプラント」と呼ばれる植物をご存知でしょうか?ちょっと変わった名前をもつこの植物、今注目のミラクル野菜なんです。いったいどんな野菜なのでしょうか?

アイスプラント=氷の植物。その名の通り、水泡が氷のようについています。まさにそのまま、名前の由来
アイスプラントは南アフリカ原産の多肉植物で葉や茎にきらきらと光る氷粒のような水泡が付いています。アイスプラントという名前の由来はこの水泡が凍っているように見えるためです。

サプリメントいらずの野菜
アイスプラントには土壌の塩分を吸い取る能力があるため、塩害対策として栽培されていたようです。しかし害虫に強く無農薬栽培も簡単、独特な食感と味があり、普通の野菜では補えない栄養が豊富に含まれていることで注目を集めています。特に注目されている栄養は、クエン酸にリンゴ酸、カルシウム、ピニトール、ミオイノシトールなどです。クエン酸やリンゴ酸には疲労回復・胃腸の状態を整えます。血糖値降下作用も持つピニトールや中性脂肪と内蔵脂肪の増加を防ぐミオイノシトールはメタボリックシンドロームに効果があります。このように幅広い栄養を持つアイスプラントは成人病を防ぐ効果も期待されています。

不思議な見た目!そのお味は?アイスプラントの食べ方
アイスプラントの大きな特徴は、独特な食感と植物自体が塩味を持っているという点です。このためドレッシングをかけなくてもおいしく食べられます。まずはサラダとして食感と味を楽しむことがおすすめです。余計な味付けを必要としないので、過剰な油分や塩分を摂取することなくカロリーコントロールにも一役買うという優れものなのです。
余計な味付けが不要ということで、天ぷらにするのもいいようです。天つゆや塩を付けること無くお召し上がりいただけます。熱を加えることで生まれる葉のとろみを利用して鍋料理やシチューに加えて楽しむことも出来ます。その他にも、パスタにあえたり、おひたしにしたりと、素材を活かした料理方法が比較的ポピュラーなようです。
アイスプラントはまだ新しい野菜として扱われがちなので、まだまだ一般的に浸透しておらず、料理のレパートリーの研究もあまり進んでいないのが現状です。みなさんも新しいレシピ開発に挑戦してみてはいかがでしょうか?

アイスプラントの栽培
日本におけるアイスプラントの発祥は、1985年に佐賀大学の教授が研究を始めたのがきっかけです。その研究開発には長い年月がかかり、2002年にようやく商品化へと漕ぎ着けたのです。
最近では、栽培するのに必要な種や苗も簡単に入手することが可能で、栽培においても難しい手順を必要としないため自宅で栽培する方も増えています。プランターで栽培できる他の野菜に比べても、簡単だと言われているのでキッチンガーデンとしても楽しめます。他にも、アイスプラントには防虫抑制効果があるので、虫のことを気にせず、栽培を楽しむことが出来ます。ここで栽培のおける注意ポイントをいくつか挙げておきます。

ポイントその①・・・清浄な土を選びましょう。
最近のアイスプラントは土で栽培することが多くなっているようですが、元来は水耕栽培で育てられてきた植物です。その栄養吸収力は他の野菜に比べると大変強いものです。土に汚染物質が含まれていると、根から栄養を吸収するため、その物質も吸収されてしまいます。その結果、有害で食べられない野菜になってしまうのです。

ポイントその②・・・コツは温度管理にあり。
アイスプラントを上手に栽培するコツは温度管理に気を配ることです。適した温度は5度から25度とされています。これさえ維持出来れば簡単に栽培することが出来ます。

お花も咲きます。新しい野菜として注目を集めているアイスプラントは、最近では栽培する業者も増え、商品名は多様化しています。佐賀県では「バラフ」、「クリスタルリーフ」や「プッチーナ」、静岡県では「シオーナ(潮菜)」や「シーフィグ」など様々な商品名が付けられています。
と言っても、まだまだ家庭の食卓に登場することは珍しいこのアイスプラント。この新しい野菜を栽培から楽しんでみてはいかがでしょうか?