- 2012.07.01
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幸福の花“ハス”
梅雨の時期もそろそろ中盤に差し掛かり、いよいよ夏の準備が始まろうとしています。今回は7月の誕生花、幸福の花とも呼ばれるハスをご紹介します。
植物の中でも、ハスは最も古いものの1つである事はご存知でしょうか?およそ1億4000万年前に、既に地球上に存在していたと言われています。ハスの花は清らかさや聖性の象徴として称えられる事が多く、古くからヒンドゥー教・仏教・密教などといった宗教の中で、象徴的な存在でした。また、中国語の発音が「連続的」と同じ事から、“幸福や幸運が連続的に続く事を意味するシンボル”とも考えられているようです。
そんなハスはどのような特性を持っているでしょう。ここで少しハスの特性についてお話します。ハスは、花・実・葉・根茎などによって全体が構成されています。
◯花◯
「蓮華(レンゲ)」と呼ばれています。ハスの花の命はわずか4日間です。午後には蕾に戻ってしまう為、午後には美しい花を見る事は出来ません。また、花が咲く時にはポンッという音がして、その音を聴くと幸せになれるという説があります。◯実◯
花の中心部に出来る「花托(果托 カタク)」が特徴的です。その形状が蜂の巣に似ている事から、「はち巣」となり、「ハス」と呼ばれるようになったという説があります。花托は、花弁が散ると生長しながら果托に変化します。同時に、受粉しためしべも成熟して褐色化し、硬い果皮を持つハスの実になるのです。
◯葉◯
ハスの葉には中心に「荷鼻(ヘソ)」と呼ばれるものがあり、中央部から放射状に葉脈がはしっているのが特徴です。◯根茎◯
美しい花を咲かせたハスの地下茎は、秋になると生長が止まります。やがて翌年の発芽に備えて栄養を蓄えます。食用として流通している「蓮根(レンコン)」は地下茎が肥大したものです。栄養豊富な蓮根は、美肌や成人病予防にも効果的です。ハスは泥の多い池や沼を好みますが、その葉や花はきれいな状態を保っています。ハスの葉を研究した植物学者により、ハスには天然の自浄機構が備わっている事が発見されました。葉の表面についた水は表面張力によって水銀のように丸まって水滴となり、泥や小さい昆虫、その他の異物を絡め取りながら転がり落ちます。この現象は「ロータス効果」として知られ、ナノテクノロジーの分野では、染料・屋根材・布などの表面でロータス効果を再現し、それらを乾燥したきれいな状態に保つ方法の開発が行われています。
ただきれいな花を咲かせるだけでなく、様々な用途で使われているハス。ここでおすすめのハスの名所をご紹介します。
◯不忍池(しのばずのいけ/東京都 「上野駅」から徒歩6分)
7月下旬〜8月上旬。江戸時代より浮世絵に描かれる程のハスの名所。◯薬師池公園(やくしいけこうえん/東京都 「町田駅」からバス15分 「薬師池」下車)
7月中旬〜8月中旬。園内の北端部にはハス田が設けられ、大賀ハスが咲き誇る。◯三渓園(さんけいえん/神奈川県 「根岸駅」からバス10分 「三渓園前」下車)
7月上旬〜下旬。創設者が好んだ花がハス。開花時期に合わせ、早朝6時に開園。◯水郷佐原水生植物園(6月下旬〜9月中旬/千葉県 「佐原駅」からバス20分 「水生植物園入口」下車)
ハスでは300品種以上と品種数で日本一の規模を誇る。7月7日(土)〜8月12日(日)には、早朝に見頃を迎えるハスの花が鑑賞出来るように、早朝観蓮会や、象鼻杯やハス茶を楽しめるイベントが開催される。◯古代蓮の里(6月中旬〜8月中旬/埼玉県 「行田駅」からバス21分 「古代蓮の里」下車)
古代蓮(行田蓮)が約10万株、世界の花蓮が約2万株、計12万株の花蓮が見られる。期間中は行田のB級グルメ(ゼリーフライ)の販売も。
これから夏に向けてますます暑くなっていきます。日が昇って暑さが強くなる前に、少し早起きをして幸福の花を堪能してみてはいかがでしょう。涼しそうに水面を埋め尽くすハスの花を見ていたら、つかの間の涼しさを感じられるかも!
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