2013.07.01

人と植物、その歴史

まだじめっとした日が続く7月。先月21日には夏至を迎え、日の長さが夏が近い事を教えてくれます。毎年同じように四季は移り変わり、それは私たちが生まれる遥か昔から変わりません。さて、今回のコラムでは私たちの生まれるずっと昔から存在する植物の歴史についてお話ししましょう。

—植物の誕生

私たちのいる地球が誕生したのが今から約46億年前と言われており、地球上に生物、と呼ばれる個体が誕生したのが約30億年前の事でした。まだその時にはアメーバのような細菌や微生物で、植物の大元となる個体が生まれたのは約6億年前でした。その頃になると海の中ではクラゲのような単純な生物が現れるようになり、植物はというと、“藻”の仲間が増えました。のちにこの海の植物は太陽の光を求め陸に進出してゆき、藻→コケ植物→シダ植物と変化を遂げてゆきます。このシダ植物が陸上で初めて栄えた植物でした。これが約3億年前の事になります。そして植物が陸上に進出した事により“土壌”が形成され、土壌には生物の遺体や分解された様々な化学物質がそこに蓄積されます。その結果、陸の栄養が海に流れ、海の生物を育てるという関係が作られ、それが現在まで続く事となります。また、こうした土壌は二酸化炭素の吸収にも大きな役割を果たし、生物の生息出来る環境づくりにおおいに貢献したのです。

シダ

—藻・コケ・シダから花を咲かせる植物へ

さて、上で説明しました藻やコケやシダ類は“胞子”、もしくはそれに似たようなもので増えていきます。この頃にはまだ“種子”という優れたシステムは出来ておらず、胞子は1つの細胞で出来ている為、子孫を残したり増やしたりする為の役割分担が出来ずにいました。胞子で増える植物は“花”を咲かせません。そして約1億年前になると、ついに種子で増える植物が誕生します。種子は2つ以上の細胞(多細胞)で出来ており、花から作られます。つまり、ここで初めて花を咲かせる植物が誕生したのです。
そして、初めは藻のように単純な形をしていた植物も次第に役割分担をするようになり、それに合わせて形もどんどん変化していきました。

花を咲かせる植物

こうした植物の変化によって地上は“森林”などが形成される事により緑に溢れ、生物が多数生息する広大な空間が誕生しました。昆虫はこの広大な空間を効率よく移動する為に空を飛ぶようになりました。植物による物質生産が増える事により動物も多様化したというわけですね。私たち人の祖先である魚類の一部も、この頃に上陸して両生類へと進化を遂げます。森林と同時期に上で述べたような種子植物が出現し、現在の繁栄への一歩を踏み出したのです。

いかがでしたか?今回は私たちがいつもお世話になっている植物の起源についてご紹介しました。元を辿れば同じ海から生まれ、互いに助け合いながら今日まで至っているんですね。しかし、現代に近づくにつれ、環境破壊などによる絶滅現象が目立つようになってきました。そうした部分については、また次の機会に…。