- 2013.08.01
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暑い夏でも芽吹く“山菜”
先月早々に梅雨明けし、今年の夏はとても暑い夏になりそうですね。アスファルトの照り返しなどで気温は益々上がり、日中は人の体温以上になり、溶けてしまいそうです。さて、今回のコラムではこんな暑い中でも次々と芽吹く、“山菜”についてご紹介したいと思います。
―山菜ってなに?
お蕎麦屋さんなんかに行くと山菜そばなんてメニューがあったり、スーパーに行くと野菜コーナーに山菜が並んでいたりと、今は手軽に山菜に出会えるようになっています。しかしそもそも山菜とはなんなのか、皆様ご存知ですか?
山菜とは山や野に自生し、食用にする植物の事をまとめて“山菜”と呼びます。山菜が食べられ始めたのは縄文時代ではないか、と言われており、そして江戸時代には、自分たちで栽培して採れるものを野菜、野山で採れるものを山菜というように区別し、山や野原、水辺に生えているものは全て山菜とされ、おいしく食べる方法も数々知っていたようです。山菜は元々平安時代から体に良いものとして広がりを見せましたが、江戸時代の三大飢饉による食糧難がきっかけとなってより多くの山菜が食べられるようになりました。この頃食べられていた山菜の種類は約80種類でしたが、現在はさらに増え約300種類程あると言われています。—山菜の特徴
山菜の他の野菜と違う一番の特徴が、ほろ苦さとアクの強さです。粘りのあるものもあります。野菜として販売されているものと比べると山菜は独特な風味を持ち、山に自生して自然そのままの味、という印象を受けます。山に自生しているが故に収穫量もまちまちですが、だからこそはっきりとした季節の移り変わりを楽しめるのが山菜の良い所と言えるでしょう。
山菜は季節を感じさせてくれる植物ですが、中には1年中楽しめるものもあります。これはハウス栽培される山菜で、主に三つ葉などがそうです。また、春や秋に楽しめる七草も山菜です。秋の七草は主に見て楽しみますが、春の七草は七草粥として食卓に出るのではないでしょうか?七草の内容は地方によって多少違う所をあるようですが、大体はセリ・スズナ・ナズナ・スズシロ・ホトケノザ・ゴギョウ・ハコベラが主となっています。これらは1月7日に無病息災を願い作られます。—山菜の種類
ここでいくつか私たちにも身近な山菜をご紹介しましょう。
ウコギ科の多年草でとても香りが強く、山菜として親しまれています。アクは強めで、酢味噌和えや天ぷら、サラダや煮浸しなどで楽しめます。
タラノキはウコギ科の落葉低木樹で、新芽をたらの芽と呼び食用にします。新芽は天ぷらにするのが一般的ですが、おひたしや和え物、油炒めにしても美味しくいただけます。
ゼンマイ科の多年草で、春先に雪が消えると共に綿毛で覆われた新芽が出てきます。アクが強いので、アク抜きしてからおひたし、煮物、和え物で楽しめます。
キク科の多年草で、フキノトウはそのつぼみの事を指します。毒性の強い成分が含まれているので、しっかりとアク抜きが必要となります。フキノトウはお味噌汁や天ぷら、煮物などで楽しめます。
トクサ科の多年草でスギナの胞子茎です。10cmくらいの大きさのもののはかまを取り、茎だけを茹でて水にさらします。そこから煮物、酢の物、汁物、佃煮など様々な形で楽しめます。
いかがでしたか?今回は山菜について注目してみました。自生している山菜は山菜狩りなどでも楽しめますが、ちゃんと採り方が決まっています。山菜が豊富に生えているからといって、必要以上に採ったり、食べ頃になっていないものや時期を逃して成長しきってしまった山菜は採らないようにしましょう。また、近場であっても山に入る事は変わりないので、一人で行く事はやめ、経験者の方と一緒に行くのが良いですね。山菜は秋口までが旬なので、この夏はルールを守り、山菜狩りを楽しんでみてはいかがですか?
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