- 2014.04.01
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花の香りはどこまで漂うの?
暖かい日差しの中、桜の花が一気に咲き始め、いよいよ春到来です。前回のコラムではそんな美しい色合いの花々が醸し出す香りのメカニズムについてご紹介しました。さて、今回のコラムでは引き続きその香りにまつわるお話を書いていきましょう。
前回のコラムでは、花の香りは花が開く事で漂い始めると書きました。そんな花の香り、街中などでふわりと香ってきても、その香りの先を探してみても見つからない事ってありますよね。それはその時の天候や花の香りの強さによっても変わってきますが、では花の香りはどのくらいの距離を漂う事が出来るのでしょうか?今回は香る花の中でも特に香りがよく飛ぶと言われている植物をご紹介したいと思います。
中国名で“九里香”という植物があります。九里香という名前ではあまり馴染みがないかもしれませんが、これは強い香りが特徴のキンモクセイの別名です。一里は約4kmなので、名前から見ると約36kmも香るという意味です。ただ、中国では一里が約400〜500mなので、実際は約3600〜4500m漂う事になるのでしょうか。こちらの九里香、英語名でも「フレグランス・オリーブ(香るオリーブ)」という名前が付いています。こちらの九里香に似た名前の植物で、“七里香”という植物もあります。こちらはジンチョウゲの別名で、約2800〜3500m香りが飛ぶという意味です。
良い香りを強く漂わせる、“三大芳香花”と呼ばれるのがこのキンモクセイ・ジンチョウゲとそしてもう一つが、「旅路の果てまでついてくる」と歌われるクチナシです。また、“三大芳香花”以外に香りを漂わすのがウメです。ウメの最高級品“南高梅”の産地、和歌山県日高郡みなべ町の梅林は、「一目100万本、香り10里」と称されています。しかし、実際のウメの本数は7〜8万本なので、少し控えて、「一目10万本、香り10里」と言われる事もあります。
10万本のウメの香りは、春風に乗り、10里先まで香りを運び、春の訪れをいち早く知らせてくれるようですね。いかがでしたか?この二月に渡り、花の香りについて注目してみました。この季節、ふと花の良い香りがしてきたら、どこから香ってくるのか想いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。