- 2015.04.01
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春先の不思議な光景
暖かい日差しを浴びて桜の蕾も一斉に花を咲かせ、いよいよ春到来!な4月。そんな桜と同じ様に、春はたくさんの生き物たちが目を覚まします。水辺には目を覚ましたカエル達が産卵の為に集まり、普段見る事の出来ない姿を見せてくれます。さて、今回のコラムではそんなカエルに注目し、その生態や歴史、カエルたちが春先に見せてくれる不思議な光景などについてご紹介しましょう。
—カエルってどんな生き物?
現在吉祥寺や自由が丘などにカエルグッズ専門店が出来たり、キャラクターとしても確立されてきているカエルですが、実物はちょっと気持ち悪い…なんていう人もまだまだ沢山いますよね。小さい頃はよく卵やオタマジャクシを捕まえてカエルになるまで飼育観察してみる、なんて事もしていましたが、カエルが棲む場所が減っていたり、そもそも自身が大人になったという事もあり、そういう機会もなくなってしまいました。昔はただただ変化していく事が楽しくて、カエルとはどんな生き物なのか考えてみるとなかなか上手く説明出来なかったりします。
そこで…少しここでカエルとはどんな生き物なのか改めて調べてみました。カエルとは両生類という、幼生期間は水の中で暮らし、変態後は陸上で暮らすグループに属しています。その先祖が初めて陸に上がったのはなんと3億6000万年前!そして現在の形に落ち着いたのがおよそ1億8000万年前と言われています。私たち人間、霊長類が誕生したのがおよそ6500万年前と言われているので、それよりも遥か前から存在していたという事になりますね。
現在全世界には4400種類のカエルがいると言われており、毎年数十種類のカエルが新種記載されているそうなので、その数は今後も増えていくと考えられます。ちなみに日本では現在5科12属45種のカエルが棲息しているそうです。ここでそんなカエルの体のつくりをご紹介します。
パッと見た感じ口が大きいので顔の印象が強いカエルですが、その見た目にはカエルが飛んだ時の衝撃から身を守り、効率よく獲物を捉える工夫があるのです。〈目〉…瞳は横長になっている種類が多い。
〈鼻腔〉
〈口〉…非常に大きい。
〈前肢〉…4本指。
〈後肢〉…5本指。アマガエルなど跳躍力のある種類は、跳躍した時の衝撃から身を守る為、前肢は短く太くなっています。後肢は前肢よりも長く跳躍する為の筋肉が発達し、踵だけで1関節を占めています。あまり跳躍しないヒキガエルなどを見てみると、後肢が短くなっています。首が無く顔だけに見えるのも、跳躍して着地時の衝撃に備える為背骨の数が少なくなっているのが理由となっています。
次に、幼生時のオタマジャクシの体のつくりについてです。
〈目〉…小さくつぶら。
〈嘴(くちばし)〉…小さいがとても硬くて丈夫。下向きになっている種がほとんど。
〈噴水孔〉…口から取り込んだ水を出す所。
〈尾びれ〉…ここを動かして泳ぐ。オタマジャクシはカエルとは違い、草食性の強い雑食です。その為口の形も特殊で、嘴という小さい角質の歯列で藻類や水草をこそげ取って食べます。また呼吸法も異なり、カエルが肺呼吸なのに対しオタマジャクシはエラ呼吸です。口から水を入れ、エラで酸素を取り込み頭胴部左側にある噴水孔から水を排出します。オタマジャクシはまず後肢から大きくなり、その次に皮下に隠れていた前肢が出てきます。この時にエラ呼吸から肺呼吸に変わり、カエルになるのです。
—春先見られる光景(ヒキガエル編)
春先暖かくなってくると、野山で暮らすヒキガエルたちが冬眠から目覚め、産卵の為に池に集まってきます。毎年同じ頃・同じ池・同じ場所で卵を産みに沢山のヒキガエルが集まってくるのは不思議な光景ですね。池に集まったヒキガエルたちは1週間の間に卵を産み終わります。雌はここで体力を使い果たすので、産んだあとしばらくは近くで休憩をし、また池から出て元いた野山に戻っていきます。ヒキガエルの雄と雌はこの産卵の機会の年に1度に会うだけで、それ以外の時は1匹で暮らしています。
先日の話ですが、私も家の近くで偶然その光景に遭遇しました。現在オタマジャクシの飼育中なので、その時の様子と飼育の様子を交えつつご紹介します。ヒキガエルの卵は長いヒモのようになっています。長いものは10m程になり、雌は雄をおんぶしてゆっくり歩きながら卵を産み出していき、固まらないようにします。卵の入ったヒモは初めは細いですが、だんだんと水を吸って太くなります。
このヒモ1本の中に約8000個の卵が入っているそうです。
初めは丸い卵はだんだんと細く形を変えてゆき、やがてオタマジャクシになります。オタマジャクシの餌は茹でた野菜や煮干しなどです。私の家では茹でたホウレンソウと熱帯魚の餌(コリドラスという種類用の固形のもの)をあげています。入れた瞬間飛びついてくる様子は見ていて面白いです。
ごはんも沢山食べ、少し体の大きさが大きくなってくると、まずは体と尾の間辺りから後肢が生えてきます。続いて前肢が生えたら顔もカエルの顔に変化し、尾がだんだんと縮んできます。
この時にエラ呼吸から肺呼吸に変わります。
飼育下の場合、この時に水の深さを5cm程にしないと溺れる個体も出てくるので、カエルが登れるように陸地も作ります。←前肢が生え、ほぼカエルの姿に変わりました。カエルになった数が増えてきたので陸地(レンガ)の部分を増やします。
←ヒキガエルの子は雨の日に山へ帰ると言われています。霧吹きをすると登ってくるので、雨だと思ってるのでしょうか?
やがて子ガエルになると水の中から出て陸に上がり、親と同じように野山に帰っていきます。
私も先日この子たちを元いた場所に返してきました。←狭いケージから広い場所に出してもらえて皆のびのびしてます。
こうして皆親ガエルのいる山へと向かい、大きく成長したらまた春先同じように池に来てこの不思議な光景を見せてくれるでしょう。
いかがでしたか?植物の事が続いていたので、今回は少し違った方面で春に関連した事をご紹介してみました。産卵のところには遭遇しなくても、池に向かってノシノシ歩いてる姿を目撃したなんて人は多いんじゃないかなぁと思います。苦手な人も多いかと思いますが、こうして注目してみると、なかなか魅力的なところが沢山あって、新しい発見も出来ますね。という事で、そんな春先に不思議な光景を見せてくれるカエルに注目してみました。次回コラムもお楽しみに!
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