- 2008.03.21
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「寒さ」と「暖かさ」
すっかり春らしくなり、サクラの開花が近づいています。今回はサクラが開花する前にアップします。
私たち日本人にとって、「春」と聞いて一番に連想する事と言えば「サクラ」だと思います。そこで、皆さんに意外と知られていないサクラについて少しだけお教えしたいと思います。まず一番気になるのは開花時期ですよね?テレビのニュースや新聞で開花予想が取り上げられるくらい皆さんが注目することです。その開花ですが、ただ暖かければ開花すると言うわけではありません。では何が必要なのでしょうか?
まず1つ目は寒さ。「?」と思いませんか?サクラは、前年の夏に花芽(かが・はなめ)と言って花の芽が形成されます。その状態でしばらく生長はストップして休眠状態になります。その後冬の寒さに一定期間さらされることによって、休眠打破と言って眠りから目覚めて再び生長が始まります。冬の時期の寒さ(低温)が足りないと目覚めるのが遅くなり、開花は遅くなります。
2つ目は暖かさ。これは当然ですよね。花芽が目覚めた後は暖かくなるに連れて生長が早まり、開花へと向かっていくわけです。
このように、サクラの開花には「寒さ」と「暖かさ」が必要なのです。通常北上するはずの桜前線が最近は場所によって南下する場合もあります。これは、近年問題となっている温暖化によって「寒さ」が足りず休眠打破が遅れ、開花が遅れてしまうという事なのでしょう。実際に2007年は、東京が全国で一番早く開花宣言が出されました。
ちなみに開花予想や開花宣言は、北海道の道北では「エゾヤマザクラ」、道東では「チシマザクラ」、沖縄では「ヒカンザクラ」、それ以外の地域では主に「ソメイヨシノ」を基準としています。東京でのサクラの開花宣言は、新宿の靖国神社にある3本のソメイヨシノの標準木のうち2本が5~6輪咲いた際に出されます。他の木がいくら開花しても、この標準木が開花しなければ東京では開花宣言は出されません。
今年のお花見、半年間かけて咲いたサクラの花を少しの間ご覧になってみてください。
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