- 2010.11.01
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「赤いモミジ、黄色いモミジ」
秋と言えば紅葉狩りですね。関東一円の名所の多くは11月中に見頃を迎えます。
「もみじ」と言えば、「紅葉」と「黄葉」、どちらを思い浮かべますか?イロハモミジなど、赤く色づく「紅葉」を思い浮かべた方が多いのではないでしょうか。
しかし、古くは「黄葉」が一般的だったようです。日本に現存する最古の和歌集・万葉集にもモミジを詠んだ歌は数多くありますが、「紅葉」「赤葉」の字をあてたものは数首しかなく、その多くには「黄葉」の字があてられています。万葉集の時代には「黄葉」が秋の色とされていたようで、平安時代に入るにつれて「紅葉」が一般的になっていったと考えられています。では、どういった仕組みが「紅葉」と「黄葉」を分けるのでしょうか。
葉が緑色に見えるのは、光合成を行うクロロフィル(葉緑素)という物質が存在するためです。秋になり気温が下がると、樹木は葉を落とすために葉の付け根に「離層」を形成します。離層により葉と枝の間で水や養分の流れが妨げられ、クロロフィルは老化し分解されていきます。イチョウやブナのように黄葉する木は、クロロフィルがなくなることで、もともと持っていたカロチノイドの色素が目立つようになるため黄色く変化します。一方、イロハモミジやナナカマドなど紅葉する木は、離層に蓄積された糖分が日光に当たることでアントシアンという赤い色素に変化するため赤く色づいていきます。
紅葉が美しく色づくには、「夜間の急激な冷え込み」・「大気の乾燥による地中水分の減少」・「強い日光」の3つがポイントになります。この条件が揃うことで、離層の形成・クロロフィルの分解・アントシアンの形成という紅葉の条件が促進されるためです。
今年は猛暑のあとに急に冷え込みました。例年より美しい紅葉狩りが楽しめそうですね。