- 2014.09.01
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蝉時雨
ようやく涼しい空気がやってきて、夜には虫達の鳴き声が聴こえ出している9月。この夏元気に鳴いていたセミたちの声もだんだんと聴こえなくなってきています。夏の終わりは何度経験しても少し寂しい気がしてしまいますね。さて、今回のコラムはこの夏を思い出し、元気いっぱいに鳴いていたセミ達について書いていきましょう。
―夏の風物詩 “セミ”
7月の気温が上がってきた辺りからちらほらと姿を表し、この時期にもなると毎日輪唱が聴こえてきて、夏の象徴とも言えるセミですが、現在世界では3000種類のセミが知られているそうです。広いヨーロッパ全体では数種類のセミしかおらず、日本に生息する種類が30種類程だと考えると日本はセミ大国とも言えるかもしれませんね。子供の頃虫取り網を持ち、セミ取りをした経験がある人も多いと思います。日本はセミ大国と先程言いましたが、ではなぜ日本にはこんなにいろいろな種類のセミが生息しているのでしょうか?その理由の一つに樹木の種類が多い事が挙げられます。種類によって好む樹液の種類が異なる為、樹種が多い程それらを食糧とするセミの種類も増えるという訳です。
さて、ここで少しセミにの特徴と生態についてご紹介しましょう。―セミの特徴と生態
セミはカメムシ目と頸吻亜目に分類される昆虫の総称で、鳴く昆虫の一つとして知られています。成虫の体は前後に細長い筒型で、頑丈な脚・長い口吻・発達した翅などが特徴です。触角もありますが、短い毛髪状な為あまり目立ちません。翅は前翅が大きく、休息する時は体の上面に屋根状に畳み、前翅後縁と後翅前縁は鉤状に湾曲しており、飛ぶ際はこの鉤状部で前後の翅を連結して羽ばたきます。主に鳴くのはオスだけで、オスの成虫の腹腔内には音を出す発音筋と発音膜、音を大きくする共鳴室、腹弁などの発音器官が発達し、鳴いてメスを呼び寄せます。発音筋は秒間2万回も振動して発音するそうで、メスを呼び寄せるだけでなく外敵に襲われた時にも鳴きます。器官の拡大によって生じた共鳴室は腹部に大きな空間を占め、ヒグラシやヒメハルゼミなどの腹部の断面を見るとほとんど空洞に見える程です。一方メスの成虫の腹腔内は大きな卵巣で満たされていて、尾部には硬い産卵管が発達しています。
セミの成長過程は、卵→幼虫→成虫と不完全変態をする虫で、幼虫は地下で生活し、その期間は種類によっても異なりますが、およそ3~17年と言われています。それに比べ成虫期間はとても短く、その期間は1、2週間~1ヶ月程と言われています。―セミの種類
ここでセミの代表的な種類をご紹介します。
◯ツクツクボウシ◯
日本全国に広く生息するセミです。名前の通り、“ツクツクボウシ”と鳴きます。◯アブラゼミ◯
こちらも日本全国に生息するセミです。“ジージー”と鳴く声が特徴で、翅全体が不透明なのは世界でも珍しいそうです。◯ミンミンゼミ◯
日本国内では北海道南部から九州等に生息します。“ミーンミンミンミンミン…”という鳴き声でおなじみです。◯ヒグラシ◯
日本を含む東アジアに生息するセミで、“カナカナカナカナ…”という鳴き声が特徴です。夕暮れに鳴く声はなんだか情緒がありますよね。◯ニイニイゼミ◯
全国的にも市街地において復活傾向があるセミだそうです。“チー…ジー…”と繰り返し鳴きます。◯クマゼミ◯
日本のセミの中ではヤエヤマクマゼミに次いで大きな体が特徴で、体長は60~70㎜にもなります。その鳴き声も大きく、“シャアシャアシャアシャア”と鳴きます。◯チッチゼミ◯
先程のクマゼミとは対照的に沖縄を除く国内で最小のセミです。体長は25~30㎜程で、鳴き声は“チッチッチッチッ”と鳴きます。そして…
世界最大のセミがコチラ。
◯テイオウゼミ◯
東南アジアに生息し、その体長が70~80㎜、翅先までは130㎜程で、翅を広げると200㎜にもなるんだとか。分類学的にはヒグラシに近く、鳴き声はウシガエルのような声で鳴きます。こんな大きさのセミが飛んで来たら、少しビックリしてしまいそうですね。いかがでしたか?
よく昔セミ取りをしたり、抜け殻を集めたりしていろいろと楽しい思い出をくれたセミ。ここ数年では心無しか昔よりも聴こえる鳴き声が小さくなってきている気がしますが、夏の風物詩としていつまでもその元気な声を聴かせてほしいなと思います。
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