2015.01.01

寒い冬、植物も冬眠するの?

2015年になりました。本年も引き続きよろしくお願いいたします。年が明けても冬の寒さは相変わらずで、むしろどんどん冷えているのでは?と思ってしまいますね。私たち人間は着るものなどで体温を調整し、上手く環境に合わせています。動物界では、“冬眠”(活動を停止し、体温を低下させて食糧の少ない冬季を過ごす事。)する事でこの冬の寒さを乗り切っています。それでは植物たちはどうなのでしょう?2015年最初のコラムでは、そんな植物の冬越しについて書いてみようと思います。今回調べてみると「あ、理科の授業でこんなの習った!」とか、「こんな状態の植物見た事ある!」なんて事もあり、面白い発見がたくさんありました。皆さんはいくつ知っていたでしょうか?

—植物の冬越し。植物にも冬眠てあるの?

先程お話ししたように、動物界には“冬眠”という冬越しの方法があります。冬眠する動物の代表例として、クマ、ヤマネ・リスなどのげっ歯類、ヘビやトカゲ・カエルなどの爬虫類・両生類などがいます。日本に住む陸上の哺乳類のほぼ3分の1の32種が冬眠すると言われていて、クマを除くと冬眠する哺乳類は皆小型の種類のものです。これは体が小さい程体の表面から逃げていく熱量が多くなる為、より多くのエネルギーを生産しなくてはいけなくなります。しかし寒い冬場にエネルギーの元となる食物を得る事が難しく、体温を保つのは困難です。そこであみだされた方法が冬眠というわけです。
ここまでは動物界の冬眠のお話ですが、では植物界ではどうなのでしょうか?
植物界でいう冬眠は“休眠”と呼ばれ、植物の成長が停止する期間の事を言い、種子や目の休眠がよく知られています。植物たちは周囲の環境の変化をいち早く感知し、冬季や乾季などの生育に適さない時期を生き抜く為の戦略として休眠を用いています。休眠の誘導として外部からの刺激がありますが、これは日長・気温・湿度や土壌の水分量の変化などがあります。
ここで植物の先程述べた2つの休眠方法について詳しくご紹介しましょう。

◯種子休眠◯

植物の種子は、発芽に適した条件下においても発芽しない事があります。このような状況が“種子休眠”です。種子休眠には2つのタイプが存在し、1つは種皮などによって固く覆われている為、胚発生を進める為に必要となる水や酸素などの供給が上手くされず、結果発芽出来ないタイプの休眠です。もう1つは、内的な要因によって胚発生が停止し、発芽に至らないケースです。多くの植物が形成する乾燥種子中の成熟胚は、成長が停止した休眠状態を保たれており、休眠が解除されない限り発芽しないのですが、この休眠から目覚める方法としては植物の種類によって様々になります。

◯芽の休眠◯

植物が形成する芽は、生育に適さない環境条件の際、休眠状態に入る事があります。このような“芽の休眠”は多年生植物によく見られる現象で、特に温帯の大部分の植物は秋に日が短くなると芽の休眠を誘導される事が知られています。芽の休眠が誘導されると、植物の成長は抑制され、休眠芽が形成されます。この時落葉樹は葉を落とし、常緑樹も新たな葉の成長を制限します。芽が休眠から覚めるには、長日になり気温が上がるだけでなく、その前に0度から10度の低温に芽が直接さらされていないといけません。十分な低温にさらされず、休眠から目覚めてしまった植物はほとんどが枯死すると言われています。

—その他の冬越し方法

ロゼット

上記では植物の休眠についてお話ししましたが、次はその他の冬越し方法についてご紹介しましょう。この冬越し方法、小学校の理科の授業でもおなじみなので、皆さんも1度は聞いた事があるんじゃないかなと思います。この時期に町中を歩いていると、地面にペッタリと葉をくっつけた状態の植物を見た事はありませんか?種類で言えばタンポポやオオバコ、ヒメジョオンなどが当てはまるでしょうか。根から直接葉が放射状に出たように見えるこの状態“ロゼット”と呼ばれ、地面にピッタリと貼り付くようにしているので風の影響はあまり受けず、裏側は地面の暖かさに守られており、表面は光を十分に受けられるので、春になってから種子から発芽しなければならない種類に比べるとずっと有利に成長出来るのです。
この状態は植物が試行錯誤を繰り返し、環境に適応した生活型であり、冬越しの為の最善な方法の1つと言えるでしょう。

いかがでしたか?今回は寒い冬を植物たちがどのように乗り越えているのかをご紹介しました。よくよく見てみると上記のような状態の植物は様々な場所で見る事が出来るので、どんな冬越しをしているのかチェックしてみるのも良いかもしれないですね。
植物の強い生命力と知恵を間近で見られるので、また新たな発見があるかもしれません。
ぜひチェックしてみてくださいね。