- 2015.05.01
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植物の恵み
5月に入ると春の風景から緑が増えて新緑の季節になってきましたね。新芽から勢い良く成長していく姿には、生命のエネルギーを感じます。私たちには作ることが出来ない、あらゆる植物の持つエネルギーには、観賞する他にも食料としてなど、心身に大きな恵みをもたらしてくれていますよね。今回のコラムでは、そんな植物が生み出す恵みと、私たちの生活との関わりについて注目してみましょう。
―私たちの生活
植物が長い年月を費やし作り出した酸素で私たちが呼吸をしているのは勿論、私たちは植物なしに生きていけません。昔から人は、植物を必要とし生活の中に上手く取り入れて暮らしてきました。食料や衣類をはじめ、家や家具の材料、薬や染料など様々に利用されています。
また、自然そのものを敬う心から、植物の力を活かした文化も生まれています。例えば、春の祭りにはヨモギで作った草餅を食べて健康を願い、正月には七草粥を食べて無病息災を願います。端午の節句には菖蒲湯に入り邪気を祓うと言われており、冬至には柚子湯を取り入れ風邪予防と言われているなど現代も長く継承されています。
―植物から知る
そして季節の移り変わりも植物から知ります。色鮮やかな新緑や紅葉、葉を落として冬を越える姿や春に芽吹く姿などから四季を知ると同時に、私たちは植物の力強く変化していく姿に感動し影響を受けて、絵画や俳句など数多く芸術の形で残しています。例えば、日本文化の万葉集には、4500首以上ある和歌の数の中に詠い込まれた植物は160種類を越えていることから、古くから植物の存在は大きいものだとわかりますよね。
さらに植物は文化だけではなく、歴史も作ってきました。例えば、胡椒などのスパイス類をめぐってヨーロッパ各国で激しい戦争になったこともあります。世界各地の伝統医学では、多くの生薬が用いられていますが、その配合薬のほとんどは植物の葉や根でからきています。
―植物のもつ効果
防風林や防砂林など物理的効果だけでなく、精神的・心理的効果もあることは、ご存知の方や経験されている方も多いのではないでしょうか。いくつかご紹介しますと、森林の香り豊かな場所で行う森林浴にはストレス解消効果があり、園芸活動を取り入れた園芸療法には心身の状態を改善する効果があり、植物が持つ香りを利用したアロマテラピーにはリラクゼーション効果や美容、他にも健康維持が得られるとされています。現代では休息の場から商業施設、店舗やホテルのロビー、オフィスなどにも観賞用の観葉植物を置いて親しまれています。公園や森、山などでは散策やウォーキング、ランニングやサイクリングなどを楽しむ人が増えていますよね。このように昔から現代まで私たちの生活には自然と繋がりがあり、多方面で利用してきたことがわかります。
いかがでしたか?今回は植物の恵みについて注目してみました。植物と私たちの生活には深く関わりがあり、植物の恵みによって豊かな暮らしを送ることができているのだなとしみじみ思いますね。日々変化していく植物を少し気にしてみるなど、新たに植物の持つ効果を上手く生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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