- 2018.02.01
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梅と道真
早春に咲く花といえば梅の花を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
奈良時代から平安時代までは貴族の間では花といえば梅の花を指すほどでした。(現代の俳句の世界などでは花といえば桜ですが。)
「万葉集」でも約120首が詠まれています。寒さ厳しい中に可憐な花とほのかな香り。
今回はそんな梅にまつわるお話です。
「飛梅伝説」
梅にまつわる言い伝えは多くありますが、中でも有名なのが「飛梅伝説」という話があります。
概要は・・・平安時代の貴族・菅原道真が平安京朝廷内での政争に敗れて大宰府に左遷されました。
道真が暮らしていた屋敷には、特に愛情をかけて愛でていた梅の木があったのですが、道真は都を離れる前にその梅の木を思って歌を詠みます。
「東風(こち)吹かば 匂いよこせよ梅の花 主無しとて 春な忘れそ」
(春の東風が吹くころには、花を咲かせて香りを届けておくれ、梅の花よ。 私がいなくても、春を忘れず花を咲かせておくれ)
道真の歌を聞いた梅の花は、道真を慕って一夜のうちに太宰府の地へと飛来しました。というなんとも心温まるエピソードですが、実は道真が都から取り寄せてたことは伏せて、「梅が飛んできた」ということにした。という説もあります。
その梅は現在、太宰府天満宮の本殿前にて見ることができますので、太宰府に行かれた際には飛梅伝説を思い出しながら鑑賞してみて下さい。梅にまつわることわざ
梅に関することわざが多くありますのでその一部を紹介したいと思います。
【梅根性】
煮ても焼いてもまだスッパイことから、頑固でなかなか変わらない性質、いい意味では頑張り屋さんのこと。
【梅木学問】
梅の木は、成長は早いが、大木にはならないことから、にわか仕込みで不確実な学問のことを言います。
【梅干しと友達は古い程良い】
梅干しは長く漬けたもののほうが味がよく、友人は昔から付合っている人ほど気心が知れ、信頼できることをいう。
【梅に鶯】
仲の良いもの。調和して絵になるもの。
【梅は蕾より香あり】
才能のある人や大成する人は、幼い頃からそれが現れること。蕾の時からよい香りを漂わせる梅にたとえた。梅一輪 一輪ほどの暖かさ
梅一輪 一輪ほどの温かさ
これは服部嵐雪という俳人の句で、梅の花が一輪また一輪と咲くにつれて、気候も少しずつ暖かさを増すという意味です。
まだまだ厳しい寒さが続きますが、これから梅の花の開花と共に春の訪れが近づいてきます。
寒さのなかでも気品をもって花を咲かせる梅の木を見習いたいものです。