- 2018.03.01
-
移ろいゆく季節に。
緑色の五月雨の先にある盛夏に憧れ、去りゆく夏に一抹の寂しさを覚え、晩秋の空気に来たる冬の気配を見つけて暗澹とする。
凍てつく季節から華舞う季節へ。そこには、いつでも期待と不安とが交錯する。ほんの少しだけ寂しさもつきまとう。
扉から一陣の柔らかな風が舞い込んでくる。
花びらの喝采の只中で、春に霞む先の目指す場所に待っているものはなんだろう。別れゆく人には新しい出会いなのか。旅立つ人には新たな人生なのか。あるいは耐え難い屈辱と挫折か。それでも春は巡ってくる。
別れに涙し、新たな旅立ちに不安をいだき、旅の途中で迷いくじけそうになることもある。たまらない辛さや悲しみに、こらえきれず涙することもきっとある。たとえそうでも、それを糧に歩をすすめてゆこう。また来る春に向けて。凍てつく季節を通り過ぎるあいだに、めいっぱいの萌芽をつめ込んで。
移ろいゆく季節に、別れゆく君、旅立つ君へ幸多き人生があらんことを。それを祈り、そして願わずにはいられない。
※次回の更新は6月です。