2018.06.01

和ハーブ

皆さんは「和ハーブ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
聞いたことはあるけれどよく分からない、という方も多いかと思います。今回はとても身近で古くから日本に根付いている植物のお話です。
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和ハーブとは

東京オリンピックを前に日本文化が改めて見直され、衣食住さまざまな分野で盛り上がりを見せています。
その中でも密かに盛り上がりを見せているのが「和ハーブ」です。
ハーブというと、ラベンダーやカモミールといった海外のハーブを思い浮かべますが、和ハーブとは古来から日本の風土に育ち、日本人の食や薬、染料等に用いられてきた有用植物のことです。
ヨモギやドクダミ、タンポポ、ワサビといった身近な植物も和ハーブの仲間です。
ハーブの元々の意味は「草」ですが、現代においては有用植物全体を指すことが多く、樹木や葉だけでなく、果実、根、樹皮なども広義でのハーブといえます。

和ハーブの効能

いくつかの種類とその効能を紹介したいと思います。
【薬】
ヨモギ ⇒ 解熱・血圧降下などの民間薬として使われる。
ゲットウ(月桃) ⇒ 防虫・防腐・抗菌作用が高く、亜熱帯気候の地では食料保存として使われる。
カキドウシ(垣通) ⇒ 血糖値降下やダイエットに効果的で、その優れた効能は海外でも活用される。
【食用・スパイス】
サンショウ(山椒) ⇒ 熟した果皮は黒色粉の調味料、花は花山椒と、年間通じて活用できる野生のスパイス。
カボス(香母酢) ⇒ まろやかな酸味が素材の味を引き立てる。
ハッカ ⇒ 海外ハーブのミント類よりもメントール成分が多く、清涼感が強い。

道端に自生しているものや、スーパー等で売られていたりと、比較的簡単に手に入るものが多いです。
お庭やベランダなんかで育ててみるのもいいかもしれません。

江戸時代の化粧

日本人独特の化粧には「赤・黒・白」の三色で彩られます。現代にも通じるメークアップ基本色ですが、元来は日本の植物によってもたらされたものです。
【赤】
江戸時代の女性にとっての憧れのメークカラーは「ベニバナ」の深紅でした。しかしその花弁は99%が黄色色素で、紅色素はわずか1%という非常に高価なものでした。
【黒】
既婚女性のサインであるお歯黒にも使われた黒は「ヌルデ(白膠木)」という樹木が由来。アブラムシの仲間が葉に寄生して作る虫こぶがその原料で、強いタンニン成分は虫歯や歯周病予防にもなりました。
【白】
江戸時代前半までおしろいには鉱物の鉛が使われていましたが、中毒を引き起こすことから「クズ(葛)」の根を乾かして粉にしたものが代わりに使われました。
貴重なでんぷん源として葛餅や葛根湯の素材にもなっています。

調和

私たちの身近にさりげなくあり、暮らしに役立つ和ハーブ。
「和」は「日本の」という意味だけでなく身と心の調和という意味も。
そんな和ハーブを暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。