- 2010.04.01
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「春でなくても咲くサクラ」
春といえばやはりサクラです。都心でも先週開花が宣言され、今週末に見頃を迎えるようです。ソメイヨシノは1週間で散ってしまいますが、実は「サクラ」には何百もの種類があり、ほぼ1年中楽しめることをご存知でしたか?
一口にサクラと言っても、自然界でも交雑が起こりやすいこと、古くから園芸の対象として親しまれ交配種も多いことから、その数は300種以上にも及びます。早咲きや遅咲き、花びらの色が白や濃緋・淡黄色、花びらの数も5枚から八重咲き・花が2段3段に咲く300枚以上のものまで様々です。
日本に自生する野生種のサクラは以下の10種とされています。
ヤマザクラ群
ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ
エドヒガン群
エドヒガン
マメザクラ群
マメザクラ、タカネザクラ(ミネザクラ)
チョウジザクラ群
チョウジザクラ
ミヤマザクラ群
ミヤマザクラ
カンヒザクラ群
カンヒザクラ(ヒカンザクラ)文献にも古くから登場するサクラですが、この「桜」は、葉と花が同時に展開し花期もソメイヨシノより長いヤマザクラを指していました。吉野の千本桜として有名なサクラも京都・嵐山のサクラもヤマザクラ(シロヤマザクラとも呼ばれる)です。最も有名で、日本のサクラの80%以上をも占めると言われるソメイヨシノは、野生種ではなく、江戸時代頃にオオシマザクラとエドヒガン(もしくはエドヒガンの園芸品種コマツオトメ)を交配して作られた園芸品種とされています。
今年から気象庁による発表はなくなったものの、民間からの発表は続いている桜前線も対象はソメイヨシノだけではありません。沖縄や北海道の気候がソメイヨシノに合わないため、開花予想の基準種は九州~北海道南・西部がソメイヨシノであるのに対し、沖縄・奄美地方ではカンヒザクラが、北海道北・東部ではオオヤマザクラ(北海道に多いためエゾヤマザクラという呼称も有名です)が、北海道根室地方ではチシマザクラ(タカネザクラの変種だが、タカネザクラと厳密に区別されることはあまりない)が基準種となっています。そして、300種以上も存在し開花期も多岐にわたるサクラの品種と、南北に長く標高差もある日本列島の特徴を生かして、ほぼ1年中サクラを楽しむことができます。(太字=野生種、斜字=園芸品種)
1月~2月 カンヒザクラ/沖縄
3月 エドヒガン、カンザクラ、カワヅザクラ(自然交配種)、ヒガンザクラなど。
3月下旬~4月 ソメイヨシノ、少し遅れてヤマザクラ、また少し遅れてカスミザクラ
5月~6月 オオヤマザクラ、チシマザクラなど/北海道
5月~7月(~8月の年も) タカネザクラ/北海道または本州高山帯
10月~1月 ジュウガツザクラ、フユザクラ(3~4月頃にも咲く)房状に花を付け上記のサクラと見た目は全く違いますが、サクラ属(バクチノキ属に分類されることも)のリンボクは9月~10月にかけて花を咲かせます。
開花したら1週間程度で散ってしまう儚さも日本人の美意識に訴えかけるソメイヨシノ。ソメイヨシノが散ってしまっても日本全国を見渡せば様々なサクラが私たちを楽しませてくれるんですね。
みなさんも今年は、「団子より花」なお花見を楽しんでみてはいかがでしょうか。