- 2010.07.01
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「タケ・ササとバンブーの違い」
七夕と言えばタケです。蒸し暑い日が続くこんな時期は、七夕に限らず、日本らしさかつ涼感を与えてくれるタケを眺めていたいですね。今月はそんなタケについて調べてみました。
日本人はタケ類を背の高い「タケ」、背の低い「ササ」と呼び分けて認識してきました。タケもササも、温帯地域に多く自生するイネ科タケ亜科に属する植物で、タケ類と総称されます。上述したように両者を感覚的に区別してきた歴史上、タケでも小型のものに「○○ササ」・ササでも大型のものに「○○タケ」という名称が付けられている例が多く見られ、一般の人々にはその違いは認知されにくくなっていますが、実際には植物学上の明確な分類方法があります。
Ex. 小型のタケ・・・オカメザサ
大型のササ・・・カンザンチク、メダケ、ヤダケ両者の最も分かりやすい違いは新芽の皮(稈鞘)です。地上に姿を現したタケノコに付いた稈鞘が生長につれて自然に落ち、茎(稈)だけになるのがタケ。一方、稈鞘が枯れるまでいつまでも残っているのがササです。
実はタケ類が「タケ」・「ササ」に加え、「バンブー」にも分類されることをご存知でしょうか。タケのことを英語でbambooといいますが、植物学上の「バンブー」とは別のものです。
タケ・ササは地下茎を横に長く伸ばして生長することでも知られていますが、バンブーは熱帯性のタケ類で、地下茎は短く、叢生(株立ち状)になるのが特徴です。
タケの原種はアマゾンが原産とされており、大陸移動にともないコンゴ~インド、中国・日本に渡り進化したと言われています。遺伝学的に言えば、タケの原種は2倍体、日本・中国のタケは4倍体、熱帯地域のバンブーは6倍体という区別ができ、バンブーはタケ類の中でも進化した種といえるそうです・・・難しい。タケといえば、なかなか開花せず開花すると全て枯死してしまう、としても知られています。1970年頃、国内のマダケが一斉に開花・枯死した際には日本の竹産業界に大きなダメージを与えました。しかし、モウソウチクが一斉開花した際には枯死しない個体もあったり、オカメザサやナリヒラダケはこれまでにも何度か開花は確認されているものの開花により枯死した記録はないなど、一概には言えないようです(タケ1本1本は10年程度で枯れますが、株全体の枯死とは違います)。
モウソウチクの場合、開花周期は67年とされていますが、開花までの年数が正確に記録されたものは数例に過ぎず、解明には至っていません。マダケに至っては開花周期が120年とも言われており、何十年・何百年かけた観察を要するタケの開花についてはその記録に乏しく、今日でも詳しくはよく分かっていないと言うのが現状です。タケ類は、私たちと古くから親密な植物です。軽く加工しやすい竹材は、家の造作材や茶道の道具など様々な用途に用いられ、新芽(いわゆるタケノコ)は多くの種で食用として広く愛されてきました。1000年以上の古来より私たちの生活に深く関わっているタケですが、その奥はまだまだ深いようですね。
<番外編>
写真の撮影地である»富士竹類植物園では、現在、開花周期が30~50年と言われる世界最大の実をつけるタケ、メロカンナの開花・結実の様子が観察できます。
この植物園には本当にタケ類しかありません。アクセスも良くはありませんが、原種に近いタケや、他にも色や形の様々なタケが一堂に会している珍しい植物園です。タケ好きな方は一度訪れてみてはいかかでしょうか。